2-3.九識論



人間の体は五蘊(色、受、想、行、識)から構成されていて、
「眼」「鼻」「舌」「耳」「身」の五つの感覚器官(五感)で外界を認識しています。
仏法ではそれらの認識能力を以下のようにまとめています。

     【六根】(感覚能力)   【六境】(対象物)         【六識】(認識能力)

     「眼根」(視覚) →   色境 (見えるもの)    → 「眼識」(視覚的認識)

     「耳根」(聴覚) →   声境 (聞こえるもの)  → 「耳識」(聴覚的認識)

     「鼻根」(臭覚) →   香境 (香るもの)     → 「鼻識」(臭覚的認識)

     「舌根」(味覚) →   味境 (味のするもの)  → 「舌識」(味覚的認識)

     「身根」(触角) →   触境 (触れられるもの)→ 「身識」(触角的認識)

     「意根」(知覚) →   法境 (感覚されるもの)→ 「意識」(知覚的認識)

この6つの認識能力を「六識」といいます。
人間が起きて活動している時、働くのがこの「六識」ですが
睡眠状態にはいるとこの6つの意識も眠りにつきます。
そして代わりに立ち上がるのが七識と呼ばれる深層意識です。


七 識(マナ識)
潜在意識とも呼ばれる七識は、無意識の内に「六識」及び意識下の行動に影響を及ぼしています。
マインドコントロ−ルや催眠術などは、この「七識」に働きかける行為です。

また人間の欲はこの「七識」から沸き起こるとされています。 
欲望や執念などの煩悩の元となる部分です。
六識で煩悩をコントロ−ルしようとしても次から次へと七識から湧き出てきますので
いくら「六根清浄」を心がけても、六識を清浄にすることはできないのです。
逆に言えば「七識」を清浄にできれば、「六根清浄」も可能になると言えます。

この「七識」も死とともにその働きを停止します。
そして「六識」が停止すると「七識」が立ち上がるように
「七識」が停止すると「八識」が現れると説かれています。


八 識(アラヤ識)
人間が死んで肉体が滅びて尚、存在する意識。それが七識よりも深いところにある深層意識「八識」です。
「無没識」とも呼ばれるこの「八識」は、臨死体験や前世療法で感じられるところの意識です。

また「一切種子識」とも言われ人間が生きている間に行ってきた行為が、
この八識において、「種子」となって蓄積されていきます。

この一切種子識に特に重悪な因(謗法の罪)を刻んでしまった人は、
六根にまで影響を及ぼしてしまい、生まれながらにして感覚器官に障害を負ってしまうとも考えられます。

つまりこの八識(一切種子識、無没識)によって、因果律に基づく輪廻転生がおこなわれていきます。
我々がよく口にする「宿業」が刻まれている意識層がまさにここです。

九 識(アマラ識)
仏教では、この八識の奥にさらに深い「九識」があると説いています。
これが最も根源的な究極の超意識です。

私たちが信心をしていく中で、本来重く受けなくてはならない宿業を
「転重軽受」で軽く受けるだけですんだりしながら「罪障消滅」していけるのは、
この九識でご本尊様の仏界を感じ取り境智冥合することが出来るからです。
八識に刻まれた宿業を奥底から洗い流していくのが大聖人様の仏法です。

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